蒼龍革命 #3

おもっきり#2で色んなヒトのキャラでちゃったけど大丈夫だったのかな…(

 

 

惑星ジオノーシス




オーキス「……彼女の中にはもう一人居た。内なる力の底で閉じこもるように………彼女がここに導いたとしたらこの試練、私の時以上に過酷になる。」

 

「フォースと友に。」









死んだと思ってた。血のような赤いマフラーしたボーマンダに首を掻っ切られ、長い事無を彷徨うような途方もない感覚は大いなる意志がやり直しの機会を与えるかのように背中から打ち付けるように落とされ、詰まっていた息を吐くように顔を上げた

 

レナ「っ、……!ッ、ハァ、ハァ…ハァ…ここは!?」

 

酸素を吸い込み、体を捻って体制を直す。

直前までのことの本末を思い出し、すぐさまドラゴンクローを展開して戦闘態勢になるが、起きた先は基地ではなく、記憶にある廊下だった。

 

レナ「さっきまで基地に居たのに、どうしてここに…」

 

無駄に取っ手を黄金にした「社長室」と札がついたもう捨てたはずの場所。戦いの為、以前運び屋として捨てた部屋が目の前にあるのだろう。

次のステージに進むように退路のない扉の向こうを開いた。



レナ「昔の、私の部屋…。でも、どうして」





「ここは、フォースが作ったアナタが捨てた世界。あの時、戦うことを決意なんてしなかったら、今もここで平和にいたの」

 

レナの思ってた事が当たった。羽をおもっきり伸ばせて寝れるベット、背の低い机の社長席。壁には全世界の地図と、防寒具のエアキャップ。なにより、暖炉に飾られた運び屋を立ち上げた当初のドサイドンボーマンダの二人が並んだ写真……そのまま外に飛びせるよう大きく開けられる窓から風が流れ、揺れるカーテンの視界から作られるように同じボーマンダが現れた。



レナ「それは違う!」

「違くない!」

 

食い気味にボーマンダが「ハイパーボイス」で攻撃するように吠えた。衝撃波の圧が空間を歪ませ、耐性がない家具や壁が歪んで砕けていく。

 

「こんな事をしなければ!何も失わずに済んだ!アナタのせいで!」



咥えたバトンから赤い光の剣が伸び、それを受け止めるように二足で立ちながら「ドラゴンクロー」を展開した。

二つの刃が斥力で閃光を発していくが、ライトセーバーの前ではポケモンの技などスターファイターの装甲を切るよりも容易な事だ。それがセーバーの出力を最大にした憎悪と怒りから生まれた赤い刃なら尚更。ドラゴンクローの刃が赤く熱し、へし折れと技が崩壊。そのまま顔を振ってレナの首元へ迫るが、咄嗟に頭を下げてボーマンダの後ろへと飛び込んだ。

目的は窓だ。陽の光が窓ガラスに辺り白く輝く光の壁へと飛び込んだ。

 

レナ「…えっ、島?」

 

普段なら彼女のポケルディアの海と町を見下ろせる風景が見えているが、飛び込んだ先はポケルディアではなく、何度も通った、見慣れたあの島。草むらから飛び出すように、草木が無い広場の大地を踏んで、上空へと飛び上がった。上から見てもよく見た地形に島にポツンとたった1軒のお店。間違いなく、霧の向こうの島だ。そして、後を追うようにあのボーマンダが赤い翼を広げて「ドラゴンクロー」同士で刃をぶつけ合った

 

「アナタだけじゃない、こんな場所に来なければ!あんな奴に合わなかったら!」



「あんなリザードンにドンも取られて!ワタシにはもう何もなくなった!」



レナ「それは私が決めた事!後悔はしていない!」

 

空中での競り合いはお互いにかかる勢いをどうするかで決まる。少しでも空中姿勢が狂ってしまえば押し切られるからだ。執拗に攻めくるボーマンダをレナが振り払うように後ろ足で蹴り上げるようにクローを出

す。相手はまるで自分自身の行動を知っているように避けるために競り合いからも逃げるように縦の宙返りで急離脱を行い、羽ばたきながらローリングでレナの左側に回り込んだ。ライトセーバーの独特な起動音が風とともに響いた



レナ「左側に回られた!」



「それが、いつまでも引きずってる証拠よ!」



頭から首元にかけて出来た切り裂かれた傷跡は目も巻き込んで視界も失っていた。左側に回り込まれてしまうと見失うどころかポジションとしても失う、空中戦では最大の弱点だ。加速して距離と視界を確保してもその場には既におらず、視界から飛び込んだ赤い閃光がレナの横腹から翼ごと叩き切った



レナ「っ…腹を切られたのね」

 

「なんで生きて………あの女の玩具か!」



骨と肉を切り裂いた感覚が咥えたセーバーから確かに伝わった。切り抜けて振り返ればなんのリアクションも無かったようにレナが目前に飛翔し、頭突きを食らわせた。下顎から突き上げるように顔が真上を向き、口元が緩み咥えた赤い光が尾を引いて落下した。

お互い足を合わせ直立した姿勢になると浮力を失い、錐揉みで落下する。遠心力でレナのマフラーからボーマンダの形をした石が振り回される。飛び立つ際、アテナからもらった身体の傷を肩代わりしてくれるお守りだ。切られたはずの首元と腹にヒビが入っている。




レナ「もう一度取り戻したものもある!」

 

「使われているだけだ!」



横殴りの風と回転で引っ張れたお守りの紐をボーマンダが噛んで引きちぎった。持ち主を離れ、二人から遠ざかってすぐに見えなくなった。



「これで次はないわ!」

 

レナ「そこまで戦うのを求めるのはなぜ!」

「全部が憎いからだ!」

 

「自分を捨てて、同族同士で殺し合って!仲間も失って、身体中ボロボロで…帰れたら、ドンは結婚して私の居場所はどこにも無かった!情けでドンの元に置いてもらってるだけで!」



後ろ足でレナの腹を蹴り、密着状態から離脱。二人の下で落下しつつあるセーバーへと羽ばたいき、噛み付いて捕まえる。上から迫るレナにとどめを刺すべく顔を振るい、赤い半円の軌道を描くが、やり返すように体を大きく反り寸前で剣の軌道を避け、宙返りをしてセーバーの発信部に「ドラゴンクロー」を引っ掛けて空高く蹴り飛ばした。上空で光の円が舞う



「戦いのヒーローにもなれないで1人で残りたくなかった!こんなことなら」

レナ「自分勝手な解釈を!するな!」



心中を図ろうとしたボーマンダの突き刺し。

レナが影を作るように翼を広げ、下から受ける風でブレーキをかけ距離を取る形で避け、今度な頭から飛び込んだ。背中まで足を伸ばし、ボーマンダを背中から叩きつけるように島の湖に沈んでいく。



レナ「確かに、居場所がないのは感じていた。CNさんみたいに強くはないし、ドンのような実力もないわ。」

 

レナ「それでも、もう一度迎えてくれたのは嬉しかった!暑苦しい程あったかいこのマフラーのように………」

 

湖の表面が落ち着いた頃に、底からレナが上がってきた。大きく息を吐いて、浮かんでおとなしくなった青いドラゴンへと首を向けた。ずぶ濡れの身体は首に巻いたマフラーが熱で乾かしてくれる。たいようのいしを編み込んでもらったものだ。



レナ「ヒーローにでも、ただ殺したいから戦ったんじゃない。皆がいるこの日常が壊れるのが、それでドンやリトさん…みんなと戦いたく無かったから私達は戦った。皆守るためだったのよ」





「それなら断ち切って見せて。今までの私をこの試練で」



ボーマンダだったものが沈んでいく。湖に広がった大きな波紋が収まると今度は木々が激しく音を鳴らして揺れる。この世の終わりのような地響きが大地にヒビを入れ、湖が盛り上がり、島全体を巻き込むような土煙が起きる。ジオノーシスにあったあの岩塊が水をかぶって現れ、空より高く見えなくなった。



レナ「元から迷いはないわ。もう恐れない。」




龍滅戦争…その終末を飾ったのはかつての時代、人間が作った兵器の化け物だ。星一つを壊すには十分と言えるほどの数キロもある全長が落ちていればドン達は存在すらできないだろう




目を閉じて、自分の中に閉じ籠る悪意を感じ取る。そして目を開ければ、島の景色から一気に宇宙へとたどり着いた。あの時のように黒と光の点の世界。

そして、あの時を再現するように目の前、視界全てが岩肌のドラゴンにも似た化け物…子宮のように子を納めるように装甲…そういえるものを透かしてコアとも言える光が眠っている。






「………………」



あの時、こいつを倒さなければ、破壊と殺戮を繰り返し、未来にも過去にも進むことが出来ない世界になっただろう。倒せなければレナやドンや顔馴染みのヒトたちや見知らぬ相手も、みんな、死ぬ。戦いの中、いくつも見た、同胞の死体のように。



今度こそ断ち切らねばならない。

 

レナの中にある最後の力が『新たなる希望』を作り出す。光の結晶が絶望を振り払う。

闇の中で見えるはずの巨大な敵を見上げた。



レナ「……!わかった。」

 

結晶に手を合わせ、自分の内なる力に身を任せる。

宇宙に浮かぶデブリが結晶を包むように集まり

銀色の力の結晶に生まれ変わる。

自分の本能に従うようにそれに噛み付き、

雄叫びを上げるように光の剣が生み出された。









宇宙を真っ赤な光が包み込む。

それを打ち消すように、光の一筋が空の果てで駆け抜けた…













「また一人になるわ。それでも」



レナ「また巡り会うことが出来た。」

レナ「必ず、迎えに来るって信じてたもの。」





砂嵐に閉じ込められた世界には岩の成れの果てと二人のボーマンダ。叩きつける砂が追い討ちをかけ、砂に埋もれていく。

しかし、嵐の向こうから大きなシルエットがうっすらと見え、陰になるようにドサイドンが庇い、ついてきた白い炎を灯したリザードンがレナの首に真っ赤なマフラーを巻いてくれた。










「アナタの勝ちね」



レナ「勝ち負けなんてない、過去に清算しただけ。」



「最後に聞くわ、ジェダイにはどうしてなりたいの?」



砂嵐が収まり、最初のように岩の塊からゲートが開いた。もう一度中へ乗り込むが、その時は他者の姿はなかった。中で聴き慣れた声が問い掛ける



レナ「CNさんみたいになりたいとか、もっと強くなりたいって思った事もあったけど…今ので決めた。」

レナ「みんなのように誰かのために守れるようになりたい。」

 

「それが理由?」

 

レナ「えぇ、今まで助けられてばっかりだけど、私も皆みたいに誰かを助けるように…ポケルディアでドラゴンが滅んだなんて思っていない、彼らともう一度再開するためにも!」



扉が閉まり、顔を上げて虚空へと答える。自分の声が反響する。もう一度静まりかえってどこからともなく声が響いた。



「…わかった、その道は過酷だけど、アナタならジェダイになれるでしょうね………」







惑星ジオノーシス



外ではオーキスがレナが帰ってくることを信じてその場で足を組み、心を集中して待っていた。下半身が砂に埋もれて、このまま戻らなければここで朽ちる覚悟だ。岩に隙間が生まれ、上下に開くハッチが動くと左目に傷痕を残したボーマンダが帰ってきた。




オーキス「……レナ!どうだったか?」

 

レナ「ワタシであり、私であるってところかな。」



オーキス「言うじゃないか…結局これはなんだった?」

レナ「多分、ジェダイの祠の一つだと思う。…そいえば、出る時これを拾った」

 

レナの言葉に肩をすくめ笑うオーキス。マフラーの皺から一欠片の結晶を咥えて渡した。



オーキス「カイバークリスタルじゃないか!」

レナ「レナそれって…!」

 

オーキス「ライトセーバーの原動力だ、ここで手に入るのは予想してなかった!」

 

二人にしては小さ過ぎるほどの結晶は僅かに熱を持っているのがオーキスの手から伝わった。砂も払わずに付近に待機させた船の貨物室に飛び込み、マグネットで固定させたままの一つの積荷を開けた。

 

オーキス「集めていたセーバーの部品と多少のパーツを調達すれば出来そうだ、早速いくかい?」



レナ「帝国から借りに行きましょ。貴方も使いたがってる」



操縦席で待機していたちびえぬ子がメイン動力のレバーを下げ、上昇しながら後部ハッチが閉じた。

砂嵐も送り出すようにその辺り一帯は止み、赤くひかる恒星が宇宙に向かう機体を光り輝せた。