蒼龍革命 #1 

2,3話とまとめてを考えたけどあまりにも進まないので先に投稿。

 

 

 

 

 

オーキスとレナが島を去ってからしばらく。宇宙船は無事ワープホールを抜け、水の星モンカラマリに到着した。

 

レナ「えっと、まず船がどうして海の上で浮いてるの?」

オーキス「こうするしかなかったんだ。バッテリーが切れて船の制御が利かなかったから。こうして着水させただけ褒めて欲しい所だけどな。」

モンカラマリは地表が存在しない水の星。常に曇り空で薄暗いこの星は荒い波が水平線の先まで荒波が揺れていた。
オーキスがその海面に着水させた船はシールドもなく大気圏を突入した影響で赤と白の塗装が見る影もなく黒く焼け付き、波がではねた海水がコックピットに入り込んでいた。アテナからもらったラティアス型のロボットは後部座席で島で貰った荷物を纏めていた。

オーキス「目的の星にはついたからこの船は捨てるしかない…戦闘機と言っても反乱軍の船だ、帝国兵が探しに来る前に移動しよう。」

レナ「はぁ……酷い始まり方ね。」

ちびえぬ子と名付けられたラティアス型のロボットがボール型に変形するとまとめてくれた荷物と共にローブに包んで、レナの背中に乗り込んだ。船を捨てるように飛び上がり、オーキスの指示で雲の中に姿を隠した。それと入れ替わるように球体のポッドを挟むように2つのソーラーパネルがつけられた銀色の戦闘機が2機に並んで乗り捨てた宇宙船の頭上を飛び回り、一機が急降下すると共に緑の一閃が船に撃ち込まれ、爆発、炎上し海底へと沈んでいった。

オーキス「どうやら間に合ったようだ。アレが帝国のタイファイターだ。見つかれば間違いなく撃たれるぞ。」

レナ「耳に響くようなエンジンの音ね…しばらく雲の中を進むわ」


乗ってきた船を破壊した戦闘機たちは周囲を飛び回り乗ってきた者を捜索しているのだろう。空を飛べる者が一緒に居たとは知らず水中探索用のセンサーを稼働させ、生命反応が無いと知れば、元来た方角へと飛び去ってしまった。そのころレナは背中にしがみついたオーキスを乗せ、雲の中を飛翔する。首に巻いた燃えるような赤いマフラーのお陰で雲の中も凍る事なく飛べる。


レナ「船、捨てちゃったけど?」

オーキス「ここには私が使っていたガレージがある。そこに本来の船があるから大丈夫だ」

レナ「なら良かった。じゃあ最後に一つだけ、なんで反乱軍にはいって戦いに参加したんですか」

オーキス「この星に帝国兵が在中したからだ。大型船の造船所も置かれて、汚染がひどくなったから戦うしかなかった。造船所は潰せたが、追い払うのは出来なかった。」

レナ「負けちゃった…んですか?」

オーキス「…増援と闘うため宇宙に上がったが、やはり数では勝てなかった。仲間を逃すためあの船で囮なりあの島に流れたという事だ。………ああ、この辺りから高度を落としてくれ。どこかに港があるはずだ」

今はもう跡形もなく爆散したが、島の皆に協力してもらい直した船がある方を物惜しむように振り返る。反乱のためとはいえ整備を惜しまず愛着が湧いていた戦闘機にせめて今日まで生還出来たことを心の中で感謝の言葉を唱え海面に一点存在する人口の浮島に指を差した。

モンカラマリの首都は水の中にある。当然その星に住む種族は魚が優れた知性と手足を手に入れたような人達。地上は勿論宇宙に出るためには、ブイや残橋のような浮遊物を集めて作り上げた宇宙港と港が合体したような場所が必要なのだ。いくら高性能なワープ装置や数キロに及ぶ宇宙戦艦でも水中に沈んでしまえば飛べなくなるらしい。
浮遊装置が水と干渉してしまうとオーキスが言っていたがレナにはよく分からなかった。

浮島の端にあるプラットフォームの一つへ降下し、レナの背でローブを纏い飛び降りた。
尻尾までもローブで隠し、フードからわずかに見える青い肌は人間と赤い肌の大きな頭の種族の人混みに溶け込んでいった。

レナ「……なんだが、視線がすごいんですけど」

オーキス「ドラゴンは珍しいから当然…いやポケモン自体珍しい存在だな。見ての通り海以外はこのような場所ばかりだ」

地上を歩きオーキスの後を追うレナを大きな目をした魚人から人間…果てにはバーのウェスタンドアの向こうでウパーの群れすらこちらを見ていた。逆を言うとレナも見知らぬ世界の文化と種族を右へ左へと頭を動かし見渡している。
あまり目立つなと口にはしなかったが、そう言いたげに首元の赤いマフラーを軽く引くと向かう先は浮島の違うプラットフォームの一角。8角形の金属板の発着場にはメインキャビンの右側に機体の倍近くはある長いアウトリガーの役目ももつ羽と左側に筒状のエンジンを取り付けた宇宙船が置き去りにされて、雨風を被っていた。
内壁の階段から地下に向かい電子ロックの扉の先にレナを案内するだろう。

オーキス「半年ぐらい開けていたが船も空き巣にも入られてなかったのは幸いだな。」

レナ「ここは?」

オーキス「ジェダイとして長いこと身を隠してきた場所だ。上の船は前の戦争…クローン戦争で盗んだ物だ。……船の整備をしたらすぐ出発しよう。それまでレナには…まずはフォースを使えるか確かめさせてもらう。」

浮島が漁と宇宙港の一つであるなら、 
地下は家や部屋というより物置やガレージといった方が正しいだろう。工具から部品まで元が何処にあったのか分からない程度には散らかされ、床には埃を被った人間より大きなシリンダーから前の住人によって置き去りのままの人型の機械は腹の扉が開けられ機械が抜き取られていた。この有様では空き巣に入ったのかすらレナには…いやここの住民以外分からないだろう。
引き出しに布を被せた寝床と言い張る場所を退かし、その奥に隠していた金属のフレームが取り付いたクリスタルの箱。オーキスのフォースの力で引っ張り出し、作業机の電動ドライバーを払うように退かすと置いた。クリスタルの中心が僅かに青く光を灯している。

オーキス「ホロクロンだ。ジェダイが持つ銀河の地図から情報全てが入っている。ジェダイになりたいのなら、まずはこれを開けるんだ」

レナ「開けるって、どうやって?」
オーキス「それは自分で見つけるんだ。フォースが使えるならやり方は知って……誰だ?」

合わせ目がひとつもないクリスタルキューブはレナが爪で突いても、隅に張り巡る金の枠に爪を引っ掛けても外れようとしなかった。
力任せの様子にオーキスがため息をし、ホロクロンに手を伸ばす刹那、電子ドアを殴るように叩かれた。
レナを腕で払うような合図を送り、打ち合わせていたように巨大なシリンダーの裏に向かい、頭と翼をなるべく床に伏せた。オーキスが黒鉄色の拳銃…レーザーを発射するこの世界のスタンダードな武器「ブラスター」を手元に寄せ、ローブの中に隠すと扉のボタンを押した。
ドアを叩く犯人は人間だった。ぼさぼさな髪型の潮の匂いが体に染み付いた男は目の前のローブの…オーキスの青い肌を見ると笑顔になった

「オーキス!ああやっぱりオーキスさん!」

オーキス「アンタは船乗りの坊主…」

おやっさん!やっぱりオーキスさん帰ってきてたよ!」

レナ「…えっと、知り合い?」

オーキス「前はここでメカニックをしていたんだ。その時の………」

オーキスに取っては見知りの人と知り、フードを脱いで階段を駆け上る少年を地上まで追うがすぐに見失ってしまった。地下に戻ってきたオーキスを顔だけ覗かせたレナが見つめていたがすぐに隠れるだろう。今度は種族問わず複数の人がドアの前に集まり、入ってきたからだ。

「生きてたのか!半年も留守にして!」

「さっそくだけど船の調整を頼むぞ!」

「こっちからだ!他所はへたくそすぎて信用ならん!」

「こちらは作業アームのレンタル代が嵩むんだ、先に頼むぞ!」

オーキス「ち、ちょっと船の故障で、いや流石に今すぐなのか;これから船を」

「整備する金はないんだろ?だったら尚更だ」

あっという間に魚人のヒレが付いた手で腕を引かれ、ローブを引かれて終いには担がれるようにオーキスが連れ去られた。
部屋が静まり返り、地上に降り続ける雨の音だけが残った。

レナ「あの、まだ私の─────」

視界には埃が何処を見ても舞い上がっている。
オーキスがしばらく戻る様子もない事を察すると地面に転がったホロクロンを咥えて元の場所に置き、後ろ足で二足で立ち上がると前足の一つをホロクロンの縁に触れた。
フォースという神秘の力の使い方は分からないが、触れたホロクロンからは手の中へと確かな熱を感じ、開け方を知っている気がした。
技を出すようにではなく、感じる何かを身体から発するように俯き目を閉じた。

クリスタルの中心で小さな光が灯ると、それが大きくホロクロン全体で光るようなり、縁の金のフレームが立ち上がり、四つのアンテナに変形した。

石の記憶が見せたのはオーキスのようにローブで身を包んでいた人間だ。フォースの光が天井を照らすように一方向が明るくなると立体映像のように映し出された。顔はフードと映像の影が強くよく見えないが、髭を伸ばした口がゆっくりと開いて、ノイズと共に語り出した

「…わ……マス……ワ……ービ………たしはオビ………ノービ……残念な報告だ。帝国の邪悪な暗闇に我々ジェダイも、共和国も呑み込まれてしまった。これは粛清を生き延びたジェダイへの警告と励ましだ。」

「フォースを信じよ。時代は変わった…今、未来は不確かな物へと変わった。全員が試されている。我らの信念、友………今を耐え抜かねば暗黒に全てが支配される……だが耐えれば希望が生まれてくる。フォースと友にあらん事を」

オーキス「……この先、いろんな困難があるだろう。ジェダイになるとはどういう事かわかったか?」

レナ「それでも、自分の意思でここまで来ました。なれる可能性があるなら、私もドンやCNさん達と並べるようになりたい!」

ドアの前で映像の男が語り終わりのをオーキスが腕を組んで待っていた。ホロクロンに手をかざして元の四角形に戻り、また光を失い机に転がる。
日が差してる方角から呼ぶ声が聞こえて、肩をすくめ、レナがちびえぬ子が変形したボールを咥えると共に外に飛びした。

オーキス「……分かった、じゃあ手伝ってくれ。修行の前に金を稼がないと」

レナ「船も飛ばせませんからね。」