ポケルディアツアーズ ホーエン初日

ホワイトデーの日に、どっか旅行へとドンが提案した後のお話。ちょっとかるめ

相変わらずまめさんに書くって言ってなかったけど良かったんかな?(…

 

 

カイナタウン

アテナ「……どこも工事中だね。」

ドン「水不足が解決してまだ7年しか経ってないんだ、これでも進んだ方さ」

アテナ達がホウエンの大地に足を踏み入れたのは夕方の頃だ。ドンが全員分の荷物を全身に担いだり背負ったりして最後に客船から降りた。

リト「ホウエンは相当久しぶりに来たわ。確か前に来た時はカレーパン屋ができた時ね。」

アリィ「ちょっとうるさい…」

ジョウ「地面も揺れてまだ船にいる気分だ…」

ドン「だから言っただろ、ホウエン来ても見るもんはないぞって」

港から離れ、人通りが少ない110番道路へと向かう北の出入り口付近まで移動した彼らはそこから街を見渡した。市場には簡易的なテントが並び、先住民の住まいや造船所は古くから存在するのか砂埃を被り汚れ、ポケモンセンターや博物館は金属の枠に布が被さり建設中、道路に至っては道すらない。建物の間をヒトや馬車が自由に行き交いしている。未発達の街の外は……

ジョウ「ちょっと向こうに砂場があるよ?」

アリィ「お兄ちゃん、あれは砂漠だよ。草が生えないとああなるんだよ」

アテナ「水不足の影響で、港町の目前まで迫ってるのか」

ドン「これでも回復している。皮肉にも戦争のお陰だよ。」
リト「だから街の割に人が多いのね?」

ドン「泊まるところはホウエン支部の基地だ。浜の近くにあるからそっちに来てれ。子ども達は今日は休ませるよ」

アリィ「アテナさん、また後でね」

アテナ「じゃあリトと市場見回ってくるよ」

ジョウとアリィがドンに登り、アテナ達の荷物をユディーが受け取るとアテナはリトの背中に乗って街の方へと二手に別れた。

 

アテナ「こっちのカイナタウンは倍以上は広いな。ちょっと見て回るのは大変だなぁ…」

リト「霧を通じてこっちに移り住んだヒトも居るから、見慣れないものは沢山あるんじゃない?」

ポケルディアの港と似たようなバザーが開かれたカイナタウンの一角はホウエン地方で最も人が集まる場所。唯一違う点はここに住む者達はアテナ達と同じように霧を使い、全く知らない世界から来たヒトが大半な事だ。この世界にはない文化の工芸品や機械が並び、知らない世界の言葉が飛び交っている。

リト「あの会場、見た事ない食べ物置いてあるし、カセット式の技マシンはドンさん喜びそう。」

アテナ「ここ暮らしに慣れちゃったね。」

リト「暮らしの大きさが合ってても、食べるヒトがそれ相応で毎日大変だけどね。軍の食堂も、ガルシアさんのお菓子も。でも楽しいのはほんと。」

 

アテナが気になった物や話をリトがなんとか翻訳しつつ買い物を楽しんでるうちにやけに人だかりが多い屋台があった。ポケルディアで見つかった機械の復元品を並べ買い叩いていた。未知の機械が置かれてもあれば、明らかに懐中電灯、アテナからみればそれだけでは使い物にならない古い形のゲーム機のようなものも並んであった。その中でも、目玉商品とばかりにガラスのケースに飾られた光沢で輝いた黒塗りに金の装飾が入ったボールだ。

アテナ「ドンに合わせてるのはちょっと大きくないかな?あっゴージャスボールだ……………893000円!!!?!?」

「先日復元したばかりの高級品だぜ、塗装はパールルホワイトを下地にガンメタとクリア加工を施し、怪電波遮断塗料もつけた外見も拘った仕様!ボール内部には環境安定装置と安心感増幅機構も搭載、おまけにポケモンバトル委員会、ポケルディア防衛軍の証明書もある正真正銘本物!!彼氏に買ってもらうなら取り置きしておくよ!体型的にだいぶいい生活してるんじゃないの?」

アテナ(数千円で売ってるの見た事ある…)
リト「(うーん、ボタン裏の安全装置とオートシーズンアジャスターの回路が通常のボールと同じね…)」

リト「私には窮屈そうなので遠慮しときますね?ところで、防衛軍には品質部門なんてあったかしら?」

リトの事を褒めたようだが、内心そんな気分ではなかった。リトが怪しそうにそのボールの事を尋ね、顔を青くした屋台のヒトが誤魔化そうと言い訳をするが、そのころには二人は店を後にしていた。

 

アテナ「忘れてた、こっちだとボールはダイヤみたいな価値なんだった。にしても余計だなー…」

リト「こっちだと体格が良いとちょっと人気…なのよね。悪い気分じゃないのはわかるんだけど…………アテナさん、ここに居る時はボールはあまり見せないようにね?」

アテナ「ボールは部屋に置いて、皆出しっぱなしにする予定だよ。リトのもドンが持ってたからね」

リト「後、ボールの転売はガルシアさんに物凄い怒られますから辞めましょうね?」

アテナ「一個だけでもダメかぁ…ところで、何であれが偽物ってわかったの?」

リト「ここにボールがある方が不自然よ。」

しばらく周囲を見回り、錬金術に使えそうなものを買い集め終わる頃には周りはうす暗くなっていた。品物を纏め、停泊している船に引き上げるヒトも居れば空いた屋台に代わって飲み屋を設置し始めるなど夜の営業に備え市場は変わった賑わいを見せ始める。

アテナ「夜はビアガーデンなんだね。これだと物はなさそうだ」

リト「帰りましょっか。まだ小さい支部基地だけどキッチンは最新よ。夕飯はドンさんがしてくれるわ」

アテナ「最新設備で作るのはカレーって事か」


アテナの中でこれだけはそうなるとわかっていた。作るのがドンだから、仮に担当がリトでもドンが居るからカレーになると。
旅行にくる数日前からカレーは食べるのだけはしなかったため嫌ではなかった。

でも、ホウエンにある基地でドンが振舞ったものは意外にもパスタだった。ちょっと味が濃いけど、麺が太くて食べ応えのあるカルボナーラはこの日の為に練習してきたようだ。その匂いにジョウとアリィが羨ましそうに見てるのを申し訳なさそうにしながら完食し、夜はリトが子供たちに本を読み聞かせを聞いてるうちに気づけば夢の中にいた