1月15日深夜

 

 

 

ドン「よう、いるか?」

 

夜が更けた島の夜。意識して響かせないように森の中を歩き、島の奥深くに置かれた宇宙船の元に来た。後ろの荷台から光がもれていた。ドンが中を覗くように姿勢を低くするとオーキスがコンテナを作業台としてボールの組み立ての途中だった

 

オーキス「ジョウ君なら奥の部屋で寝ている。これが終わったら一緒に渡そう」

 

ドン「悪いな、これリトさんから」

 

船の前で包みを見せるようにぶら下げ、オーキスが僅かにこちらを見た。赤と白に分かれた球体の内側に予めくみ上げた基盤や部品を器用に爪先で配置しドライバーで締めていく。



ドン「ジョウの様子はどうだ?」

オーキス「だいぶ仲は言いようだが、遊んでいるより遊ばれているが近いな。」

 

ドンが入って良いかと了承を貰うとその場に合ったコンテナの上に腰を下ろした。



オーキス「正直、そろそろそっちで引き取ってくれないか…船が出せん」

ドン「何だお前、また帰る気あったのか」

 

オーキス「レナのセーバーが出来たらまた行くつもりだ、反乱軍に運ぶ物がある。」

 

船の隅に積まれた白とオレンジの箱をドンが開ける。中身には銃の形をした黒い物体と白と黒のヘルメットやアーマーだった。その後はオーキスがボールを組み立てる光景を見ながら時間を過ごし、次に口を開いたのは思い出したようにオーキスからだった



オーキス「そういえば先程アリィを見た、何かあったのか」

ドン「何って何だよ」

 

オーキス「彼女の中に不安がいつもより強く感じた、あれは自分の中に足りない何かを探しているような不安だ」

 

ドン「ジョウは今ジャラコの奴を仲間にしたくてしかたない、アリィには………多分あいつもジャラコと一緒にいたいんじゃねーかな」



ドン「……正直言うとわかんねーんだ、自分に足りないものがあるのは分かるんだがそれをどうすれば埋まるのか、アリィの……子供の気持ちってのがわかんねぇ。ジョウと違って複雑過ぎるんだ。はじめての双子で、サイホーンじゃなかったのも体質も違うから接し方が手探りというか…」




オーキス「託児所の次は相談所か……種族を理由にするな。その家系がなんだろうとアリィはアリィだ、わからないなら悩みを受け止めてリトとやり方を探していくしかないだろう。渡す時にでも話し合うべきだ」

 

ドン「よく1人でできたな」

オーキス「仕組みはこっちと殆ど同じだったからな。今度飯を奢ってくれたらいい」

 

割れたボールを合わせ、最後に内側からネジを閉めると完成したモンスターボールをドンに手渡し、船の奥に入って行く。シリンダーから空気が抜ける音と同時に扉が開き、仲に入るとサイホーンを連れてきた

 

ドン「最後に俺の中を考えを読んで、その上でどうしたらいい?」

 

オーキス「私に選択権を委ねるな。進もうなら今よりも強くなるだろうが、その孤独感はより一層強くなる。それ以上はわからん」

 

起こされたジョウは目を閉じたままオーキスに押されるようにドンの元へ千鳥足で辿り、抱き上げられるとすぐに眠り始めた。ドンの言葉にも夢の中のように曖昧な返事を返す

 

ジョウ「ん……ねむ………;」



オーキス「今はお前の中にも迷いがある、単純だからすぐに読めたぞ。将来の為にも一度真剣に話し合う必要があるだろう。今日はおしまいだ」



ドン「アリィを取るか、自分を取るかね……家でちゃんと寝ようなジョウ」